トップダウン経営とマネージャーの育成の両立
ベトナム進出日系企業のマネジメント問題点
記事の目次
動画内容の要約
ベトナムに進出する日系企業の多くが、トップダウン経営とマネージャー育成の問題に直面しています。特に進出初期は日本人CEOがトップダウンで指示を出し、現地従業員がそれを実行する形態が効果的です。しかし、組織が安定し成長するにつれて、後任の育成が十分に進んでいないことが問題となります。
これらの企業の日本人トップは、ヒューマンマネジメントやプロジェクトマネジメントに優れているものの、本社での役職に比べてベトナムではCEOとしての役割を担い、制度や仕組みづくりの経験が少ない場合が多いです。このため、現地のマネージャーが育たず、将来的なローカル化や駐在員制度の廃止に不安を抱える企業が多いです。
日本の中小企業でも同様の問題が見られ、役員が課長レベルの業務しか行っていない場合が多く、トップが戦略フェーズを担当する状況が一般的です。これがベトナムでも同様に発生し、人事制度や評価制度の構築が遅れることが問題の一因となります。
特にベトナムでは、日本の年功序列に基づくメンバーシップ型雇用とトップダウン文化の相性が悪く、能力が伴わない役職者がリーダーシップを発揮することで問題が深刻化します。これに対処するためには、等級制度を明確にし、必要な能力を持つ人材の採用・育成を行うことが重要です。
具体的な対策としては、等級ごとの必要な能力を明確にし、評価制度を整えることが求められます。日系企業で3年の経験があっても、それが必ずしも必要な能力を持っているとは限らないため、採用要件の明確化が必要です。また、育成制度を構築し、マネージャーやリーダーを育成することで、属人的なマネジメントから脱却することが重要です。
理想的には、進出から5年以内に制度を構築し、10年以内には安定した人事制度を整えることが望ましいです。早期に制度を整えることで、駐在員が交代しても組織が混乱することなく、持続的な成長が可能となります。